統合生理学

Department of Physiology and Systems Bioscience

『時間を操る!』
サーカディアン・リズムの原理から
生涯健康医学へ
〜発生発達・老化・寿命に深く関わる「体内時計」〜
Circadian Rhythm
: From Principles to Human Health
~ Development, Aging, and Longevity ~
『時間を操る』。これは、生物にしかできない芸当です。「時間」は目に見えず、物質でもない。物理の法則で支配できない「時間」を、生物は情報に変換し種の存続や健康維持に活用しています。「時間を情報に変換する」しくみである体内時計は、最も「生きもの」らしい不思議な生命原理だと思います。生きものが見せる「時間の操り方」を知ることは、生物とは何か?という『生物観』にもつながる研究テーマです。

サーカディアン・リズム(概日リズム:Circadian Rhythm)は、睡眠覚醒リズムに代表されるように、全身のさまざまな生理機能にリズムを与え、1日のうちで最適なタイミングで最高のパフォーマンスが発揮できるよう制御しています。しかも、そのリズムを生み出す体内時計(概日時計:Circadian Clock)は、地球の自転周期への同期(synchronization)によって常にズレないよう時刻合わせすることで、常に最適な状態を維持する「動的恒常性」を制御しています。

自分の体内時計が適応できない生活を続けることで、睡眠障害のみならず、免疫機能低下、メタボリックシンドロームや糖尿病、心血管疾患、一部のがん、など多岐にわたる疾患のリスクとなることが知られています。特に、老化や生活習慣病との関連は、概日リズムが生涯にわたる健康にとっていかに重要な役割を担っているかを強く示唆しています。

さらに、生物種に共通の「体内時計」に加え、生物は種に固有の「時間」も厳密に制御しています。発生過程に見られるさまざまなイベントのタイミング制御がその例です。哺乳類の妊娠期間は、種によって決まっています。しかも、個体間のばらつきは驚くほど小さく種に固有の時間に設定されていますが、このような現象は厳密な時間スケールの制御原理の存在を暗示します。私たちは、「種固有の時間」と「普遍的な時間」これらを巧妙に操ることでこの地球上で健康に生きていくことができているのです。

私たちは、生物だけが持つ「時間の操り方」の研究を通し、生命とは何か?健康とは何か?を考え、現代社会を生きる人々の生涯にわたる健康に貢献していきます。
研究テーマ
  • 発生・発達:「種固有の時間」と「普遍的な時間」を操る生命
  • 老化と寿命:縦断的研究モデルによる老化病態再現
  • 予測と予防:ヒト概日リズムの調査・計測・評価
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発生・発達:「種固有の時間」と「普遍的な時間」を操る生命
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老化と寿命:縦断的研究モデルによる老化病態再現
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予測と予防:ヒト概日リズムの調査・計測・評価
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「不規則な生活はなぜ体に悪いのか?」サーカディアン・リズムによる恒常性維持についてまとめた総説は →こちら
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「第32回 日本時間生物学会学術大会」を主催しました!
2025.10.21
大学院生の瀬谷崇さん(D4)、ダブル受賞!おめでとうございます!
2024.11.18
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2024.02.06
論文が「iScience」に掲載されました!
2023.11.15
八木田和弘教授が京都経済同友会で講演しました。
研究テーマ
当研究室では、環境適応の起源である体内時計に焦点を当て3つの部門に分けて研究に取り組んでいます。
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メンバー
八木田教授をはじめとするスタッフのメンバーと院生・学部生により取り組んでいます。

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研究業績
これまでに取り組んだ研究の原著論文と総説を掲載しています。


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